お店でなくても、お料理を作る時、思い浮かべるのは「幸せそうに食べてくれるあの人の笑顔」ではないでしょうか。
至喜灯縁料理長の蔦木が「料理の面白さ」に目覚めたきっかけも、幼少の頃「親にお弁当を作ってあげたい」という小さな気持ちの芽生えだったとの事。
母親と一緒に台所に立つようになり、スマホもレシピ動画もない時代に、母の手元を見ながら、見様見真似で覚えた料理を、家族に食べてもらい、喜んでもらえた。
その記憶が今に繋がっています。
しかしながら残念な事に、もちろん全てではないでしょうが、昨今では工場で大量生産されたものを仕入れて並べる、また、ただの仕事として調理をこなす、料理をまるで「物」のように扱う宿があることも事実です。
私も含め、特に「宿泊施設」の企業化が進む昨今では、旅先でそのような味に出会い、がっかりした経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
蔦木が今でも「親方」と呼ぶ料理の師匠からの言葉、そして料理の信念として大切にしている言葉があります。
「お客様を裏切るな」
蔦木はこれを「妥協をしない事」と変換し、まさに今日も業務の中で実践をしています。では実際に何をしているかといえば「作り置きをしない」という事なのですが、料理を提供する側の方には実感されている方も多いかもしれません、お話を聞けば聞くほど、これは大変な事なのです。